緑海の計

「あの魔物はこの地のものではございません。きっと退治することはできないでしょう。しかし、魔物を封じ込めることはできるます。魔物をおびき寄せてこの場に呼び出し法力によって、この玉へ閉じ込めるのです」

緑海はそう説明しました。

大量の芋は、魔物をおびき寄せるため、千人の僧侶は法力を増幅させるためだったのです。

緑海はまず、その地の中央に高台を作らせまして、封じ込めに使う玉を設置するためです。

そして高台をぐるりと円で囲むように、大きな瓶を並べました。

瓶の下には芋を煮るのに使う薪がおいてあります。

緑海は、おそろしく緊張していました。

魔物を自分が封じ込めることができないのならば、この国はどうなってしまうのか?それを考えると恐ろしく、また自分の責任の大きさに押しつぶされそうに感じました。

封印の術を使ったあかつきには、わしはきっと命を失ってしまうだろう。

そして、人間の世界でこの封印の術を使うことは、本当にゆるされることなのだろうか。

封印の術は魔物いる魔界や、あの世でもちいられる禁断の術。

この人間の世界で封印の術をつかえば、この世とあの世につながりができてしまうのだ。

黄泉の国とこの世をつなぎあわせ、魔物を黄泉の国へ送り去るのだが、逆に黄泉の国からこの世に何者かがやってくるなど予期せぬ出来事が起こるかもしれぬ。

もし、そのような不測の事態が起きたとき、この国で事態を解決できるものは自分の死後だれもいない。

黄泉の国とのつなぎ合わせは、将来の国の為にも誰にも伝授しないのが良いと緑海は考えていました。

結果をだれも想像することが出来ない、この世で管理できない術を人間が手に入れるべきではないと緑海はこのとき強く悟りました。

自分が行なおうとしていることは、この国を救うことだが、もっと長い目で見たときに将来に渡り、この国を苦しめる根本的な原因を自分の手で作ってしまうのかもしれないと考えると、緑海は自分の運命に悲しみを覚えました。

しかし、魔物を退治できるのはこの国でわたししかいないのだ。

緑海は、そっと自分を奮い立たせていたのでした。